労働災害とは
労災保険が給付される労働災害は、@労働者が仕事(業務)を原因として怪我を負ったり病気になったり、あるいは死亡した場合(業務災害)と、A労働者が通勤によって怪我を負ったり病気になったり、あるいは死亡した場合(通勤災害)の、2種類があります。
労働者が仕事をする際には、いろいろな危険が潜んでします。
機械や装置を用いて作業する場合、万一、その機械や装置に不具合があれば、それによって怪我をしてしまうこともありますし、機械や装置に不具合がなくても、自分が使い方を間違えたり、同僚が不適切な使用をしたりすれば、そのために怪我をしてしまうこともあります。また、通路にぱっと見て分かりにくい段差があったり、適切な換気がなされていないなど、作業現場自体の安全性が保たれていない場合も、そのために怪我や病気をしてしまうこともありえます。
また、労働者が仕事場への通勤をする途中に、交通事故にあって怪我をしてしまうこともあります。
このような労働災害の結果として、労働者が怪我をしたり、病気にかかったり、場合によっては死亡することがあります。そのような労働者やその家族に労災保険が給付されることによって、迅速かつ公正な保護が図られるようにされています。
業務災害の場合
業務災害は、労働者が仕事を原因として(業務上の事由によって)、怪我を負ったり病気になったり、あるいは死亡した場合のことです。
業務災害と認められるためには、業務上の事由によって生じたものであることが必要とされており、そのためには、「業務遂行性」と「業務起因性」があることが必要とされています。
● 業務遂行性
業務遂行性が認められるためには、労働者が怪我などをしたことが、事業主の業務を遂行しているときに生じたことが必要とされます。
もっとも、労働者が具体的な業務を実際にしている最中である場合だけでなく、事業主の支配下・管理下で業務の準備作業をしている場合もこれにあたります。
休憩時間中などは微妙なところで、例えば、休憩時間中に近くの店まで買い物に行って転倒したような場合は、事業主の支配下・管理下から全く離れてしまうので、業務遂行性は認められませんが、事業主の支配下・管理下において事業場施設内で休憩中に、その施設の欠陥で怪我が生じたような場合には、業務遂行性が認められるでしょう。
● 業務起因性
業務起因性が認められるためには、「業務が原因」となって怪我や病気が生じたといえること、すなわち、業務と怪我や病気との間に相当因果関係があることが必要とされます。
怪我や病気の結果が、業務と関係なく生じたような場合は、業務起因性は認められません。
通勤災害の場合
通勤災害は、労働者が通勤によって怪我を負ったり病気になったり、あるいは死亡した場合のことです。
この「通勤」に該当するケースとしては、以下の3つがあります。
住居と就業場所との間の往復移動
就業場所から他の就業場所への移動
単身赴任となった場合の赴任先住居と帰省先住居との間の移動
なお、これらの移動は、合理的な経路および方法によるものである必要があります。
例えば、普通の人なら鉄道で通勤するところを、事業主の指示なく、自分の意思で片道3時間かけて自転車で通っていて事故にあったというケースでは、合理的な経路および方法によるものとはいえないとされる可能性が高いです。
また、移動経路からの「逸脱」または「中断」があった場合には、「通勤」とは認められません。
例えば、退勤後に家に帰る前に、帰り道から離れてバッティングセンターに遊びに行ったような場合は、「通勤」とは認められません。
もっとも、通勤経路から一時的に離れたとしても、それが日用品の購入や選挙の投票など、やむを得ない事由のための離脱で、かつ離脱が最小限度であったような場合には、救済されることがあります。





