労災事故で家族が死亡した場合、逸失利益はどうなるの

A.死亡逸失利益とは、労災事故により亡くなったことによって、将来得られたはずの収入が喪失してしまう損害のことです。金額は、年収・家族構成・年齢によって計算されます。

 

死亡による逸失利益

 

労災事故により亡くなられた場合、生きていれば働いて得られたはずの収入を失います。この失った利益(収入)を死亡逸失利益といいます。

 

死亡逸失利益は、(労災事故前の年収)×(1−生活費控除率)×(労働能力喪失期間に対応する係数)で算出されます。

 

一例として、当時45歳、扶養家族が妻と子供3人で、年収500万円だった方が労災事故で亡くなった場合、
(労災事故前の年収)500万円
(生活費控除率(※1))0.3
(年齢に応じた労働能力喪失期間(※2)に対応する係数(※2))15.9369

 

500万円×(1−0.3)×15.9369=5577万9150円
逸失利益は「5577万9150円」となります。

 

※1 生活費控除率とは、亡くなったことで将来の生活費支出もなくなることが考慮されて、損害額計算の際に、支出することがなくなった生活費分として一定割合が控除されるものです。遺族側としては釈然としないのですが、裁判上、そのようにして損害額が計算されることになっています。亡くなった方が一家の支柱であったか、被扶養者は何人かなどによって、生異なる活費控除率が用いられています。
※2 原則として、死亡時から67歳までの年数です。
※3「ライプニッツ係数」といいます。将来に発生するはずの損害を、現時点で先に受け取ることになるのだから、その間、法定利率で運用できる分を差し引く、という理屈で、裁判上、そのようにして損害額が計算されています。令和5年現在の法定利率は3%とされていて、22年(67歳−45歳)に対応するライプニッツ係数は15.9369になります。

 

 

労災保険からの給付金は、一部が死亡逸失利益から差し引かれます

 

労災事故により被災者が死亡した場合、労災保険から、遺族(補償)年金(または一時金)、遺族特別年金(または一時金)、遺族特別支給金(定額300万円)が給付されます。

 

これらの給付金が、事業主(会社)に請求できる死亡逸失利益から差し引かれるかどうかですが、
@遺族(補償)年金(または一時金):一部、差し引かれます
この「一部」とは、示談交渉がまとまった時点、あるいは、判決までに受領済みの年金(遺族年金)部分です。
A遺族特別年金(または一時金):差し引かれません
B遺族特別支給金(定額300万円):差し引かれません

 

このように、労災保険からの「特別〇〇金」とされているものは、裁判上、差し引き(損益相殺)の対象にならないとされています。この点は、示談でも同様に扱われます。

 

 

 

労災事故で大切なご家族が亡くなられた場合には、弁護士にご相談ください

 

労災保険では、死亡逸失利益の全ては補填されません。
そのため、とりわけ被災労働者が亡くなられた場合には、労災保険では補填されない部分の死亡逸失利益を被害者側遺族が受け取れるかどうかは、一般的に死亡逸失利益の金額が大きいことから、とても重大な問題になります。

 

これは、死亡逸失利益を支払わなければならなくなる事業主(会社)側にとっても大きな問題となります。
そのため、事業主(会社)側が、「そもそも被災労働者側の一方的な過失による事故であって、会社に責任はない」と主張したり、「会社に責任があったとしても、被災労働者側にももっと大きな過失があった」というように過失相殺(割合)による大幅減額を主張してくる場合が少なくありません。

 

そうなると、本当に会社に責任がなかったのかどうかや、被災労働者側に過失があったのかどうかなど、事故原因や事故態様に関する資料を集めて検討たり、証明したりしなければなりませんが、これはかなり大変な作業です。
そのようなとき、弁護士は被害者側遺族の味方となって、適切なアドバイスや支援を行うことができます。

 

ご家族が労災事故にあわれて亡くなられた方は、どうぞ弁護士にご相談ください。
ご相談は、電話でもメールでもLINEでも可能で、いずれも初回無料です。ご相談はこちらです。

 

 

 



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