事故発生
まずは治療を優先しましょう。
後で事故原因が争いになることがありますので、
できれば現場の状況を写真撮影したり、
事故にあった機械のメーカーや型番を控えたりするとよいでしょう。
労災保険を請求する
労災保険の対象となるのは、
「業務災害」か
「通勤災害」です。
事業所の所在地の労働基準監督署に、必要書類を提出して、請求します。
労災申請書類の所定用紙は、労基署にあります。
厚生労働省のホームページでもダウンロードできます。
なお、労働災害が発生した場合、
勤務先は労働基準監督署に報告(労働者死傷病報告)しなければなりません。
勤務先が協力してくれないときは、労働基準監督署ご相談ください。
労災保険給付(治療中)
労働基準監督署において必要な調査を行い、認定されると、労災保険が給付されます。
治療中の主な給付は、次のとおりです。
療養補償給付
医療費が給付されます。
労災指定医療機関で治療を受けたときは、
直接、医療機関に治療費が支払われますので
治療費を立替払いする必要はありりません。
労災指定医療機関以外で治療を受けたときは、
いったん治療費を立替払いしたうえで、請求することになります。
休業補償給付
労働災害により休業し、賃金の支払いを受けられなかった場合に、
休業補償給付が給付されます。
休業補償給付の額は、給付基礎日額(平均賃金)の60%です。
支給されるのは、休業4日目からです。
ほかに、休業特別支給金として、給付基礎日額の20%が給付されます。
傷病補償年金
治療を始めて1年6か月経過しても治癒しない場合で
一定の重い傷病(傷病等級第1級〜第3級)に該当するときに
傷病補償年金が給付されます。
後遺症状が残ったとき
治療を続けていても、治療効果が期待できなくなり
症状が固定したときに、後遺症状が残った場合、
障害補償給付支給請求をします。
その後、原則として医師面談があります。
申請から通常2〜3か月程度で認定結果が出ます。
所定の障害等級に該当すると認定されれば
障害補償年金(第1級から第7級)
障害補償一時金(第8級から第14級)
が給付されます。
ポイント
障害補償給付支給請求をするにあたり
医師に、障害補償給付請求用の所定の用紙の
「診断書」を作成いただくことになります。
ここに、傷病名や、障害の状態の詳細などを記載いただくのですが
必要な検査がなされていないなどで
本来記載いただくべき事項が記載されていなかったり
間違ったことが記載されていた場合は
本来認定されるべき障害が認定されなかったり
等級が不当に低く認定されてしまう恐れがあります。
不安があるときは、弁護士ごに相談ください。
亡くなられたとき
労働災害が原因で労働者が亡くなられたときは
所定の遺族に対し
遺族補償給付(遺族補償年金、又は、遺族補償一時金)が支給されます。
なお、この支給を受ける遺族は、
民法上の相続人とは必ずしも同一ではありません。
ほかに、葬祭料も支給されます。
労働基準監督署に
支給請求書など所定の書類を提出する必要があります。
会社に対する損害賠償請求の検討
労災保険給付では、労働者に生じた損害の全部が補償されるわけではありません。
例えば、休業補償は60%しか支給されませんし
慰謝料は一切支給されません。
特に
後遺障害が認定された場合や、死亡事故の場合に
深刻な問題になります。
そこで
会社に責任があるかどうか
つまり
会社に注意義務違反や安全配慮義務違反があるかを検討します。
会社に責任があれば、
労災保険給付では足りない分を会社に損害賠償請求します。
そのために
労働局に保有個人情報の開示請求をして労災資料を取り寄せるなどして
事故原因を検討します。
保有個人情報の開示請求は、
代理請求ができないのでご本人様名義で請求します。
専門的な判断が必要になりますので
弁護士に相談されるとよいでしょう。
※ 通勤災害の場合は、会社ではなく加害者(損害保険会社)に対して損害賠償請求をします。
※ 会社に全く責任がない場合は、損害賠償請求できません。
※ 会社に責任がある場合でも、労働者側にも落ち度がある場合は、過失相殺されます。
示談交渉
会社に損害賠償請求ができる場合
まずは、会社と示談交渉をします。
本人で対応するのは大変なことが多いですから
弁護士に依頼されるとよいでしょう。
示談交渉がとまれば
会社から妥当な損害賠償を受けることになります。
裁判
会社が妥当な示談に応じない場合
裁判を提起して損害賠償を請求します。